臨床研究で乳がん患者の7割がPHRアプリ(WelbyマイカルテONC)活用に前向き
~昭和大学 WelbyのPHRプラットフォームをePROとして採用~
昭和大学(所在:東京都品川区、学長:久光 正)の「PHR/PROを用いた乳がん患者のための患者参加型医療連携サポートシステムによる行動変容の研究」(UMIN000042365)において株式会社Welby(本社:東京都中央区、代表取締役:比木武、以下Welby)が提供するPHRプラットフォーム「WelbyマイカルテONC(以下、マイカルテONC)」がePROとして採用され、研究期間終了時点で患者へアンケートを実施した結果、全体の約7割がPHRアプリを今後も医療スタッフとのコミュニケーションや有害事象の報告に使用したいと考えていることが、示唆されたことをお知らせいたします。
【研究の概要】
近年、PHRが患者と医療従事者の間をつなぐコミュニケーションツールになりつつあります。本研究では、乳がん患者がPHRアプリを用いて、服薬の状況や症状の変化をPRO(Patient Reported Outcome: 患者報告アウトカム)として記録できるかという実用性と、PROを記録することが生活の質(QoL:Quality of Life)に与える影響を前向きに調査しました。
本研究では手術後ホルモン療法を受けた乳がん患者14名を対象に、治療開始から1か月間、体調、症状、投薬に関連するPROをPHRアプリで入力してもらい治療開始前と1か月後にQOLを評価しました。また、研究期間終了時点でPHRアプリに関する患者アンケートを実施しました。
【結果】
- 試験期間終了時点のアンケートでは、約70%の患者が将来、医療スタッフとのコミュニケーションや有害事象の報告にPHRアプリを使用したいと考えていることが明らかになりました。
- すべての患者は、QoLに悪影響を与えることなく、研究期間中にPHRアプリを使用できました。
- 79%の患者がアプリ経由でPROを完全に記録することができました。
表:研究期間終了時点で実施したPHRアプリに関する患者アンケートの集計結果
【結論】
本研究により、手術後ホルモン療法を受けている乳がん患者はPHRアプリを用いて症状を継続的に記録することが可能であることがわかりました。さらに、医療従事者と患者の間で症状についてコミュニケーションするためのツールとしてもPHRを適用できる可能性が示されました。
出典:Fuka Takada,Hiromi Okuyama,Seigo Nakamura,Ken-ichi Fujita(2022).Application of Personal Health Record in Enhancing the Quality of Life in Patients With Breast Cancer Who Received Adjuvant Hormonal Therapy
https://www.eurjbreasthealth.com/archives/archive-detail/article-preview/application-of-personal-health-record-in-enhancing/51454
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がん患者の多くは生活の質(QOL)の低下につながる有害事象を経験するため、治療の早期中止を引き起こすことがあります。そのため、治療を継続するためには患者の報告に基づくアウトカム(patient reported outcome:PRO)による有害事象の適切な管理と、医療機関への共有を行うことが重要と言われています。海外のがん診療のガイドラインでもPROの活用が推奨されており*、日本でもマイカルテONCをはじめとしたPRO活用の動きが広がっています。
本研究で使用されたマイカルテONCは、患者が日常の症状や治療状況に関する情報を簡単に記録・閲覧できるなど一元管理ができるほか、プロフィールや記録された情報に応じ最適化された情報提供が行われます。また、がん治療を行う医療従事者向けサービス「マイカルテONC PRO」では、患者がマイカルテONCを利用して記録した症状などをWeb上で閲覧することができます。
これらの機能を通じて患者が治療に対して正しい理解が深まるようになることや、医療関係者が患者の状態(副作用や症状悪化)を早期検知することで、より良い治療アウトカムの実現を目指すことを支援します。マイカルテONCは患者・医療従事者ともに無償で利用が可能なプラットフォームで、2020年2月のサービス提供開始以降、現在までにがん拠点病院を中心に26施設に導入されるなど、臨床シーンでの活用が広がっています。
昭和大学病院 ブレストセンター長 中村清吾(乳腺外科特任教授)は、以下のように述べています。
「患者さんの愁訴を正確に捉えることは、治療成績の向上につながると言われています。本システムを上手に活用することで、医療者と患者さんの関係が、より密接になることを期待します。」
昭和大学では、乳がん治療におけるPHRの有用性をさらに検討するため「PHR/PROを用いたホルモン療法を受ける乳がん患者を対象としたランダム化比較試験によるQOLへの影響の検討(UMIN000044502)」が進行中です。
*M.Di Maio,E.Basch,F.Denis,L.J.Fallowfield,P.A.Ganz,D.Howell,C.Kowalski,F.Perrone,A.M.Stover,P.Sundaresan,L.Warrington,L.Zhang,K.Apostolidis,J.Freeman-Daily,C.I.Ripamonti,D.Santini,on behalf of the ESMO Guidelines Committee(2022).The role of patient-reported outcome measures in the continuum of cancer clinical care: ESMO Clinical Practice Guideline
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0923753422006913
◇株式会社Welbyについて
Welbyは、2011年からPHR(Personal Health Record)サービスを提供するリーディングカンパニーとして、様々な疾患領域の患者さんを対象とする、治療支援デジタルサービスの企画・開発・運用をしています。提供するPHRサービスの一つ「Welbyマイカルテ」は、糖尿病、高血圧などの生活習慣病患者さんを対象に、血糖値や血圧などの自己管理を支援するスマートフォン向けアプリです。また、大手製薬企業と共同で企画し、Welbyが運営するPHRサービスも数多くあり、生活習慣病をはじめとして、オンコロジー領域、中枢神経系領域、自己免疫疾患、希少疾患など、幅広い領域でPHRサービスを提供しています。また様々な疾患領域におけるPHRサービスの実績とID・DB基盤を活かし、臨床研究を対象としてPHR/PROを活用したエビデンス創出の相談から、PHR/PROの収集システムの開発・運用、機器の運用支援までをパートナー企業と連携して提供しています。
●社名 :株式会社 Welby(証券コード:4438)
●代表者 :代表取締役 比木 武(ひき たける)
●本社所在地 :東京都中央区日本橋本町 2-7-1 野村不動産日本橋本町ビル 3 階
●設立年月 :2011 年 9 月
●事業内容 :患者向け治療支援デジタルサービス(PHR)の企画・開発・運用
●URL :https://welby.jp/
◇報道関係 お問合せ窓口
●株式会社Welby 広報担当:pr@welby.jp