NEWS
2026/05/15
医療・研究機関との取り組み

「WelbyマイカルテONC」等の症状関連ePROを用いたがん患者モニタリングの臨床効果が国際学術誌 International Journal of Clinical Oncology に掲載 〜 ePRO群で生存期間を有意に延長 〜

PHR(Personal Health Record)プラットフォームのリーディングカンパニーである株式会社Welby(本社:東京都中央区、代表取締役:比木武、以下「Welby」)は、当社が提供するがん患者向けePRO(電子患者報告アウトカム)アプリケーション「WelbyマイカルテONC」等が活用された臨床研究の成果が、国際学術誌 International Journal of Clinical Oncology(Int J Clin Oncol)に2026年4月13日付でオンライン掲載されたことをお知らせいたします。
本研究は、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療を受けるがん患者様に対するePROモニタリングの実臨床における有用性を検証した単施設後ろ向き研究です。なお、本研究はWelbyが企画・実施したものではなく、研究主導の臨床研究であり、Welbyからの資金提供はありません。

■ 論文概要
論文タイトル
Effectiveness of electronic patient-reported outcomes in patients with cancer undergoing immunotherapy: a real-world retrospective study
掲載ジャーナル
International Journal of Clinical Oncology
掲載日
2026年4月13日(オンライン公開)
DOI
https://doi.org/10.1007/s10147-026-03032-z
筆頭著者
桂 英之(小松市民病院 薬剤科)
共著者
菅 幸生(金沢大学)、木本 真司(竹田綜合病院)、牧原 玲子(国立がん研究センター中央病院)、太田 浩士、戸井 ひとみ、高田 直子(小松市民病院)、池末 裕明(名古屋大学医学部附属病院)
研究資金
日本学術振興会 科研費(JP23K06251)
利益相反
Welbyとの利益相反なし

■研究の背景と目的
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は進行がんの治療を大きく変革しましたが、免疫関連有害事象(irAE)を引き起こす可能性があり、その中には頻度は高くないものの非常に重篤な症状も含まれます。irAEの発症時期は予測困難で、患者様自身が症状の兆候に気づきにくい場合も多いことから、継続的な症状モニタリングによる早期発見・早期介入が最重要とされています。
ePRO(電子患者報告アウトカム)は、患者様がスマートフォン等を用いて日常的な体調・症状を記録し、医療者がリアルタイムに状況を把握できる仕組みであり、がん治療における症状管理ツールとして国際的に推奨されています。しかし、ICI治療患者に対するePROの有効性を、臨床試験の環境ではなく実臨床で検証したエビデンスは限られていました。
本研究は、ePROモニタリングがICI治療を受けるがん患者様の安全性および治療効果に与える影響を、実臨床データに基づき明らかにすることを目的として実施されました。

■ 研究方法
小松市民病院にて2019年6月(ePRO導入時)から2024年3月までにICI治療を受けた進行・再発がん患者239名を対象とし、後ろ向きに診療録およびePROデータを解析しました。3次治療以降の患者、ePRO利用意思の確認がなかった患者等を除外し、最終的に168名(ePRO群43名、通常ケア群125名)が解析対象となりました。
ePRO群では、WelbyマイカルテONC (34/43例, 79%)を含む3つのePROプラットフォームが使用され、薬剤師が少なくとも週1回、患者様の報告データを確認し、主治医へ報告する体制で運用されました。なお、通常ケア群では定期受診時の医師・看護師による症状評価のみが行われました。

■ 主要な結果
1. 重篤な免疫関連有害事象(irAE)の大幅な減少

Grade 3以上の重篤なirAEの発生率は、ePRO群で7%、通常ケア群で21%と、ePRO群で有意に低い結果となりました(p=0.039)。特に、通常ケア群ではGrade 5(致死的)の肺臓炎が1例発生しましたが、ePRO群では治療関連死は認められませんでした。

2. 緊急受診・緊急入院率の大幅な低減
緊急受診率はePRO群23%に対し通常ケア群59%(p<0.001)、緊急入院率はePRO群16%に対し通常ケア群34%(p=0.031)と、いずれもePRO群で有意に低い結果でした。多変量解析においても、ePRO使用は緊急受診のリスクを78%低減(OR: 0.22, p<0.001)、緊急入院のリスクを64%低減(OR: 0.36, p=0.027)することが示されました。

3. 生存期間(PFS・OS)の有意な延長
無増悪生存期間(progression free suvival; PFS)の中央値は、ePRO群10.8ヶ月に対し通常ケア群4.8ヶ月(HR: 0.50 ;95%CI: 0.32-0.79 p=0.003)。全生存期間(overall survival; OS)の中央値は、ePRO群で未到達(観察期間中は半数以上が生存)に対し通常ケア群17.0ヶ月(HR: 0.40; 0.32-0.79, p=0.010)でした。
がん種別のサブグループ解析、スマートフォン保有者に限定した解析、および傾向スコアマッチング(各群37名)においても、ePRO群のPFS・OSに対する有意な改善効果が一貫して確認され、上記の結果の頑健性が示されました。

■ 本研究の意義
本研究は、単施設の後ろ向き解析であはりますが、ICI治療を受けるがん患者に対するePROモニタリングの臨床的有効性を実臨床下のデータによって検証した、本邦では初めての試みです。ePROを用いた継続的な症状モニタリングが、重篤な有害事象の早期発見・早期対応を可能とし、緊急受診・入院の低減、さらには生存期間の改善にまで寄与する可能性が示唆されました。
論文著者らは考察において、ePROによる症状モニタリングが患者-医療者間のコミュニケーションを促進し、irAEが重篤化する前の早期介入を可能にしたこと、また、患者様の治療参画意識(エンゲージメント)やセルフマネジメントの向上にも寄与した可能性を指摘しています。

■ 小松市民病院 薬剤科 桂 英之氏 コメント
患者さんの声が届くだけで、医療はこんなに変わる。
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による副作用は、次の診察日まで待ってくれません。「なんとなく息苦しい」「昨日より少し熱っぽい」——患者さんがそう感じたその瞬間の情報こそ、患者にとっても私たち医療者にとっても最も重要な声です。しかし従来の医療では、その声は診察室に来るまで届かず、気づいたときにはすでに重篤化していることが、決して珍しくありませんでした。
今回の研究では、ePROを活用したモニタリングにより、重篤なirAEの発生率が約3分の1に抑えられ、救急受診は30%減少、緊急入院も約20%減少し、さらに全生存期間においても統計学的に有意な改善が認められました。これらはすべて、実際の臨床現場から得られたデータです。
ePROの導入後、患者さんの治療に対する満足度が目に見えて向上しました。「誰かに見てもらえている気がして、安心して自宅にいられる」「先生には言いにくかったけど、アプリには正直に書いている」——こうした言葉が、自然と患者さんの口から出てくるようになりました。不安を一人で抱えながら次の診察を待つしかなかった日々が、毎日自分の体を誰かに届けられる日々へと変わる。その安心感が、治療だけでなく、日常そのものを支えていると、日々強く実感しています。
私たち薬剤師の役割は、患者さんと医師をつなぐことです。診察室では時間的制約の中で語りきれない日常の体調の変化を、ePROを通じて拾い上げ、医師へ届ける。その橋渡しこそが、早期介入を可能にし、重篤化を防ぎ、そして今回示された生存期間の延長につながったと確信しています。薬剤師が患者さんの「声」と医師の「判断」をリアルタイムでつなぐことで、治療はより安全に、そして患者さんにとってより心強いものになる——それをデータが証明してくれました。
治療中のがん患者さんに、ひとりで抱え込まなくていい医療を届けたい。新たな薬でも、新たな処置でもない。患者さんにとっても医療者にとっても、追加の費用負担なく始められる。ただ、声を届ける仕組みがあるだけで——治療の景色は、これほどまでに変わるのです。ePROが、一人でも多くの患者さんの手に届くことを、心から願っています。

■ 株式会社Welby CMO(Chief Medical Officer) 清水 健一郎 コメント
このたび、小松市民病院の桂先生をはじめとする研究チームの皆様が、WelbyマイカルテONCを含むePROツールの臨床的有効性を実証する研究成果を国際学術誌に発表されたことを、心より嬉しく、また光栄に思います。
本研究は、ePROによる症状モニタリングが、重篤な有害事象の低減や緊急受診・入院の減少にとどまらず、生存期間の改善にまで寄与し得ることを実臨床データで示した点で、大変意義深いものです。特に、研究対象の約8割の患者様がWelbyマイカルテONCを使用されていたことは、当社プロダクトの臨床現場における信頼性と実用性を裏付けるものと受け止めています。
Welbyは、"Empower the Patients"のミッションのもと、がん領域においても患者様が安心して治療に臨める環境づくりに貢献してまいります。今後も医療機関やアカデミアとの連携を通じて、ePRO・PHRの臨床的エビデンスの蓄積に努め、がん治療における患者支援のさらなる発展を目指します。

■ 「WelbyマイカルテONC」について
「WelbyマイカルテONC」は、がん・血液疾患で治療中の患者様を対象としたePRO(電子患者報告アウトカム)アプリケーションです。患者様がスマートフォンから日々の症状や体調を記録・報告し、医療者がリアルタイムに確認できる仕組みを提供しています。
PRO-CTCAE(有害事象に関する患者報告アウトカム共通用語規準)に準拠した症状評価機能を搭載し、顔の表情による直感的な重症度入力(フェイススケール)にも対応。患者様の報告データに基づき、あらかじめ設定された基準に該当する場合には医療者に自動でアラートが通知されます。
服薬記録・体温・体重等のバイタルデータの記録機能も備え、患者様の日常的なセルフマネジメントを支援するとともに、医療者による継続的な遠隔モニタリングを可能にします。

サービス名
WelbyマイカルテONC
対象
がん・血液疾患で治療通院中の患者様
利用料金
患者様は無料
対応OS
iOS / Android
主な機能
症状報告(PRO-CTCAE準拠)、フェイススケール入力、バイタルデータ記録、服薬記録、医療者向けアラート通知、
データモニタリングダッシュボード
公式サイト
https://oncology.welby.jp/


■ 株式会社Welbyについて
株式会社Welbyは、生活習慣病・オンコロジー・自己免疫疾患など多領域に対応するPHRプラットフォーム「Welbyマイカルテ」を中心に、医療データの利活用を支援するソリューションを提供しています。個人が自らの健康を把握し、行動変容につなげる社会の実現を目指しています。

会社概要
会社名:株式会社Welby
所在地:東京都中央区京橋一丁目11番1号
代表者:代表取締役 比木 武
設立:2011年9月
事業内容:PHRプラットフォームの開発・運用
URL:https://www.welby.jp

Cookie Policy
このサイトでは、サイトの利便性向上のためにCookieを利用します。 サイトの閲覧を続行されるには、Cookieの使用にご同意いただきますようお願いします。 プライバシーポリシー
拒否 同意して続行