胃がん領域での免疫チェックポイント阻害薬の臨床研究にWelbyのオンコロジー向けPatient Support Program(PSP)がePROシステムとして採用患者さんに対するePROの有用性を示すことを目指す
病気と向き合う人々の健康管理を支援する株式会社Welby(本社:東京都中央区、代表取締役:比木 武、証券コード:4438、以下「Welby」)は、この度、当社がオンコロジーを対象として開発したPatient Support Program(以下、PSP)が「進行再発胃癌に対するニボルマブ単剤療法のePRO(electronic Patient-Reported Outcome)による有害事象と生活の質(Quality of Life)に関する前向き観察研究」に採用されたことを発表いたします。
本研究は聖マリアンナ医科大学臨床腫瘍学講座 教授 中島貴子先生が研究代表を務める前向きの観察研究で、国内では消化器癌に対する免疫チェックポイント阻害剤治療における有害事象の発現状況や生活の質をPSPをePROシステムとして用いてデータの収集を行い、評価する初めての研究です。
本研究に採用されたWelbyのPSPは、米国のClinical Path institute(C-PATH)のPROコンソーシアム活動で示されているベストプラクティスを参照し、システムによるバイアスがかからないよう配慮され、かつできる限り回答者が、簡単に記録できるように最適化されています。また、試験に参加する患者さんは、自身が所有するスマートフォンやタブレット端末(BYOD:Bring Your Own Device)を介して記録することができ、インターネット環境があれば、どこでも回答を記録することができます。
スマートフォンの普及等を背景として、これまで紙で収集されていた患者報告アウトカム(PRO:Patient Reported Outcome)をスマートフォン等電子的なデバイスで収集するバーチャル臨床試験の拡大が期待されるなか、高齢者の多い胃がん患者さんを対象としてより使いやすく患者さんにとって有益なPSPを目指しています。また今後は研究利用だけではなく、実臨床においてPROを利用可能な新サービスを2019年12月にリリースを予定しています。患者さんが症状を記録し、見える化することにより、医療者と患者のコミュニケーションを助け、副作用の早期発見・早期介入支援による副作用マネジメントの支援に繋げることを通じて治療アウトカム改善に貢献していきたいと考えています。
海外ではPSPを活用した患者さんの治療サポートにより、通常診察群に比べQOL、全生存期間(OS:Overall Survival)の延伸といった治療アウトカムが向上したという研究事例が報告されています。日本国内ではまだ少ないのが現状ですが、本研究をきっかけに、日本国内でも同様の研究成果が報告され、がん診療の現場に広く普及することを期待しています。
Welbyのオンコロジー領域における取り組み
Welbyはこれまで、前立腺がん領域において「腺ノート」、癌性疼痛において「つたえるアプリ」を開発、提供している実績があります。これらのサービス経験を踏まえてWelbyでは、年内にオンコロジー領域の新サービスローンチを準備しています。その中で本研究は臨床研究で患者さんの症状をPROとして記録することの有用性を検証する第一歩となることを期待しています。医療者による症状評価は、患者さん自身が感じているよりも過小に評価されているとの報告があり※1、医療者と患者さんのコミュニケーションを補完する患者さんのUXに配慮したPSPの普及が求められています。
臨床研究概要
【研究タイトル】
進行再発胃癌に対するニボルマブ単剤療法のelectronic Patient-reported Outcomeによる有害事象とQuality of Lifeに関する前向き観察研究
【研究代表者】
聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座 教授 中島 貴子
【目的】
本邦の実地臨床における、胃癌のニボルマブ単剤療法を行う患者を対象として、電子デバイスを用いてPRO(Patient-Reported Outcome)による有害事象やHealth-related Quality of life(HR-QoL)情報を収集し、治療中におけるHR-QoL低下に対する症候性有害事象の影響を評価するために前向き観察研究を行う。
【主評価項目】
●有害事象悪化のHR-QoL低下に対する影響
【副次評価項目】
●HR-QoL有意低下までの時間(ドメイン毎)
●HR-QoL変化の経時推移(ドメイン毎)
●医療者評価(NCI-CTCAE)と患者評価(PRO-CTCAE)の相関
●ePRO入力のコンプライアンス経時推移(各評価ポイントにおいて1項目でも入力していた患者の割合)
【研究予定期間】
2019年7月~2021年1月
References:
※1 Basch, E., The missing voice of patients in drug-safety reporting. N Engl J Med, 2010. 362(10):p. 865-9
◇株式会社Welbyについて
Welbyは、2011年からPHR(Personal Health Record)サービスを提供するリーディングカンパニーとして、様々な疾患領域の患者さんを対象とする、治療支援デジタルサービスの企画・開発・運用をしています。提供するPHRサービスの一つ「Welbyマイカルテ」は、糖尿病、高血圧などの生活習慣病患者さんを対象に、血糖値や血圧などの自己管理を支援するスマートフォン向けアプリです。また、大手製薬企業と共同で企画し、Welbyが運営するPHRサービスも数多くあり、生活習慣病をはじめとして、オンコロジー領域、中枢神経系領域、自己免疫疾患、希少疾患など、幅広い領域でPHRサービスを提供しています。また様々な疾患領域におけるPHRサービスの実績とID・DB基盤を活かし、臨床研究を対象としてPHR/PROを活用したエビデンス創出の相談から、PHR/PROの収集システムの開発・運用、機器の運用支援までをパートナー企業と連携して提供しています。
●社名 :株式会社Welby
●代表者 :代表取締役 比木 武(ひき たける)
●本社所在地 :東京都中央区日本橋本町3-8-3 東硝ビル5階
●設立年月 :2011 年9月
●事業内容 :患者向け治療支援デジタルサービス(PHR)の企画・開発・運用
●URL :https://welby.jp/
◇本件に関する問い合わせ先
●株式会社Welby 広報担当:平山/豊島
●電話番号 : 03-6206-2937
●メールアドレス: pr@welby.jp